記事一覧

「今後目指すべき児童の社会的養護体制に関する構想検討会」への意見書

2007/04/03

「今後目指すべき児童の社会的養護体制に関する構想検討会」への意見書

委員各位

施設内虐待を許さない会事務局長 

 3月22日に社会的養護の構想検討会を傍聴し、施設当事者の意見を聞き、その発言に危惧を感じました。

 まず、委員会に出された意見表明は、結婚して家庭生活を営んでいない施設出身者の自助グループ、いわば施設出身者の一部の意見表明であり、養護施設内の処遇への意見表明に終始している印象を受けました。

 特に、大舎制施設でも、職員が多ければ問題がないという意見や、小規模施設の職員と子どものマッチングリスクから、グループホームを否定的に捉える意見、将来の家庭作りのイメージのなさに触れていない点など、養護施設という井戸の中での意見と思いました。

 このような施設養育を前提してだされた意見を、学識経験豊かな委員が、そのまま、社会的養護全体の問題として受け取るとは思いませんが、委員会の公的な資料として公表され、議事録にも掲載されることに危機意識を持ち、この意見書を提出するものです。
 
 私は、ものごころついたら養護施設にいました。幼児期は50人規模の幼児のみの大舎制養護施設で育ちました。小学校に上がるときに、250人規模の巨大養護施設に移りました。兄弟が同じ施設にいることを知りましたが、生活グループが違うため、顔を合わせることもありませんでした。

 その施設は、塀に囲まれた施設内に学校があり、施設の外に出るのは、月に1回あればいいほうで、15歳で施設を出たときは、まるで浦島太郎のように世の中のことを知りませんでした。

 私は、社会に出てから様々な困難に直面し、結婚し、子どもを育ててきました。養護施設のみで育ったため、家庭生活を作ることに困難があったり、子育てにおいては育てている子どもに嫉妬を感じたり、地域づきあいの意味すら知らず地域から孤立することもありました。

 自らの育ちの中で、養護施設だけで育つことの問題を認識し、子どもは施設ではなく家庭で育つべきであるとの認識を強くしました。

 また、養護施設児童が助け合うために、1999年に「がんばれ!養護施設出身者」というサイトを立ち上げました。さらに、2000年に養護施設内虐待の根絶のために、「施設内虐待を許さない会」を立ち上げ、事務局長として活動し、「STOP!養護施設内虐待」というサイトを運営してきました。

 また、子どもは施設ではなく家庭で育つべきであるとの思いから、「子どもの家庭で育つ権利」を提唱し、里親制度の推進と改善を要求し続けています。

 子どもは、どんな子であろうと、たった一人の子として、家庭で愛され大切に育てられ、育て親の愛情とともに社会への帰属意識を育んでいくものです。

 アメリカでは、98年前の1909年、セオドア・ルーズベルト大統領により招集された第1回全米児童福祉会議で、「家庭生活は、文明の最高にして最もすばらしい所産である。緊急止むを得ない理由でないかぎり、子どもから家庭を奪ってはならない。両親の死亡あるいは止むを得ない事情で子どもが家庭生活を続けることができなくなる場合には、子どもの実の家庭に最も似た環境で育てられるべきである。」と、アメリカ児童福祉の歴史に残る宣言を行い、里親制度の方向付けがなされ、脱施設化へと進んで行きました。

 貴委員会におかれましても、今までの施設養護中心の施策を継承するのではなく、子どもの権利条約第20条に定める「子どもの家庭で暮らす権利」に鑑み、社会的養護の基本理念に、家庭養護の優先原理をおいて下さい。この委員会の提言が、施設養護から家庭養護への歴史的転換点となり、後世の児童福祉史に名を残すことを切に願います。

 以下に、施設で育つことの問題点、子どもの権利から見た改善点などを記します。どうぞ、賢明な委員の皆様方におかれましては、親が育てられない子どもが、どのように育つのが幸せであるのか、社会の一員として生育していくのか、参考して下さればと思います。

Ⅰ 養護施設の問題点

1.施設職員による施設内人権侵害

 平成7年12月、福岡県の福岡育児院の子どもたちが体罰を訴えて、それをマスコミが取り上げるようになってから、児童養護施設における児童虐待は社会に知られるようになりました。

 それ以前も、職員の暴力・性暴力を訴えた子どもはいましたが、「大人の関心を求めるために嘘をつく」「虚言癖がある」などとされ、なかなか信じてもらえませんでした。

 平成8年4月、千葉県の恩寵園の子どもたち13名が集団脱走し、園長の虐待を訴え、テレビが放送したことで、さらに知られるようになってきました。しかし、まだまだ社会の関心は低く、虐待するのは特別な施設と思われていました。

 平成11年9月、神奈川県の児童養護施設「鎌倉保育園」の児童虐待に対して、児童養護施設で初めての改善勧告が出されました。

 その後は、次々と改善勧告や改善命令が出されるようになり、当会が把握しているだけでも、8年間で約24か所の施設に対して出されました。これは、日本の養護施設の4.3%に当たります。
また、勧告等が出されないまでも、施設内人権侵害が発覚した施設は当会が把握しているだけでも、70ヶ所を越えています。これは、日本の養護施設の12.6%(1割以上)に当たります。

※別紙資料参照

 そして、施設内虐待の増加(表面化)を受けて、平成18年10月6日、厚生労働省が「児童福祉施設における施設内虐待の防止について」と題した通達を出し、その中で「施設内虐待」を公式な言葉として使いました。

2.養護施設における児童間暴力・性暴力

 児童養護施設には、子ども同士の暴力ネットワークがあります。職員の数が少なく、また、最年長児童の牢名主的支配による子どもの統制を容認することから、職員も見て見ぬふりをすることもあります。子どもたちも、職員に児童間暴力を訴えれば、「チクった」とさらなる報復を受けるため、職員に訴えません。

 暴力による支配を受けていた年少児童が最年長になったとき、同じ暴力による支配を繰り返します。
また、児童養護施設には、職員が言うところの子ども同士の「性器なめ」という児童間性暴力があります。この「性器なめ」は、大きい子から小さい子への性暴力であり、強制された小さい子は、大きくなったとき、小さい子に同じことを強制します。さらに、児童間レイプもありますが、これらは、暴力による報復が怖いため、職員に訴えることが出来ません。

 この施設内連鎖を防止する方策を提言するとともに、万が一、被害を受けた子どものケアと、かつての被害者であった加害児童のケアについて検討してください。

3.健全な家庭生活のイメージを持ってないため、家庭を構築することが困難

  子ども時代の全てを施設で育った人にとって、結婚生活が初めての家庭生活です。虐待を受け、養護施設に入った人も、健全な家庭生活のイメージがありません。無から有を作り出すことが出来ないように、人はイメージに無い家庭を作ることは出来ません。

  この問題は、遅発性の爆弾のように、独身時代は爆発しません。結婚し、子どもが生まれたときに、どのような家庭を作っていいのか、途方に暮れ、そして、施設で育てるような子育てをし、結果として施設に子どもに入れる方が少なからずいます。

4.人生のイメージがないため、ライフデザインが出来ない

  人は自立したあとは、結婚し、子どもを作り、子育てし、子どもが自立し、老後を迎えます。しかし、人生のイメージが無いため、30歳以降の人生イメージが空白であり、人生設計を作ることが出来ません。私も、30歳から先の人生イメージが空白であり、30歳になったら死ぬものだと思いこんでいました。

5.正しい子育てのイメージがない

 虐待を受け施設に入った方や、養育放棄による施設長期入所者は、正しい子育てのイメージを持っていません。無自覚であるならば、人は育てられたように子どもを育てます。子どもを虐待する親は、虐待の自覚なしに子どもを育て、それを虐待と呼ばれて納得しない事例には事欠きません。
   施設で育てられた方も、施設で育てられたように、愛着を作らずに衣食住だけを満たしかねません。

6.継続的な人間関係が作れない

 養護施設では、職員1人で20人ほどの子どもを見ています。職員は担当制で子どもを見ていますが、一人一人に手をかけることは出来ません。

 さらに、職員一人が5、6人の子どもを担当していますが、数が多いだけではなく、担当する期間も短くて1年、長くても3年ほどで変わり、継続的な関係を作ることは出来ません。
また、養護施設児童の平均在所年数は4.4年(平成15年厚労省調査)であるため、単純計算で、5年で児童が入れ替わることとなります。

 養護施設は、職員だけでなく児童の入れ替わりも激しく、安定した人間関係は望むべくもありません。在所児童のこの細切れの人間関係は、施設を出た後も影響し、継続した人間関係を持つことが出来ません。

7.子ども時代の全てを施設で生活する子どもが1割弱いる

 職員や児童の入れ替わりが激しい中で、養護施設に5年以上いる子どもは3割、さらに10年以上いる子どもは、1割います。この子どもたちは、職員や子どもの出入りの流れに取り残され、子ども時代の全てを施設でくらし、家庭生活を知ることが出来ません。

8.濃厚な人間関係が苦手

 職員配置基準が1対6と少ないため、職員は、どの子にも平等に関わりを持つ必要があり、子どもと広く浅くつきあいます。この軽薄な人間関係を学習した子どもは、結婚生活や、生まれた子どもとの濃厚な関係が息苦しくなり、施設での部屋替えを行うようにリセットしようとします。
 
9.人間関係が複雑

 家庭生活は、多くても5、6人の人間関係であり、単純で濃厚な人間関係を作っています。しかし、養護施設では、児童数60人の平均的施設でも、児童60人、職員10人の複雑な人間関係があります。その人間関係の組み合わせは、70の階乗であり、複雑すぎるものです。

10.虞犯少年、触法少年、非虐待児童、要養護児童が一緒くたに処遇されている

 養護施設では、さまざまな背景を持った子どもが生活しています。整理すると、以下の6つに分けられます。

1.親がいない・家庭のない子ども(孤児)
2.親がいるが、育てられない子ども(養育放棄)
3.親がいるが、虐待を受けた子ども、受ける恐れのある子ども(被虐待児)
4.親がいるが、犯罪を犯すおそれのある子ども(虞犯少年)
5.親がいるが、犯罪を犯した14才未満の少年(触法少年)
6.その他 旧虚弱児施設に入所していた子ども

 このように、14歳未満の触法少年と18歳以下の虞犯少年も入ってくるのが養護施設です。通常は、15歳以上は自立支援施設(旧教護院)や自立援助ホームに行くので、中学生以下の虞犯少年が養護施設に入ってきます。

 単に親が育てられないとか、虐待を受けたという理由なのに、犯罪を犯したが処罰対象とならない年齢の少年や虞犯少年(いわゆる不良)と一緒に生活させるのですから、ひどいものです。
したがって、養護施設では、生活ではなく、規律を重視させています。子どもを育てる場所ではなく、子どもに規則に従うことを訓練する場所といえます。

11.施設の常識は社会の非常識

 養護施設には、社会とかけ離れた独自のルールがあります。ブザーやチャイムによる一斉行動、「五分前行動」と呼ばれるスケジュールの前倒し、連帯責任と呼ばれる相互監視、集団から離れる場合の職員への許可申請などなど。

少数の職員で多数の児童を管理するための施設の常識は、社会に出た後は、まったく役に立ちません。

12.連帯責任

 養護施設には、「連帯責任」という、個人の責任を集団に負わせ、そのことで、個人のルール違反やミスをさせないという、戦時中と錯覚させる制度があります。「一人はみんなのため、みんなは一人のため」という、一見きれいな言葉で表す場合もありますが、実質は、子どもに抜け駆けを許さず、互いに監視させあう制度です。

Ⅱ 養護施設を出た後の問題点

1.18歳問題

 養護施設・里親委託では、18歳で措置解除となり、未成年であるにもかかわらず、社会で自立していかなければならない。施設措置・里親委託の間は、施設長・里親が親権を行使できたが、措置解除後は、20歳で成人するまでの間、親権を行使するものがいない、無権利状態となる。

2.身元保証人がいない

 施設を出るときに、一回だけ施設長が身元保証人になるが、転職をすると、保証人となってくれる人がいなくなる。結果として、保証人の不要なアルバイトやパート、日払い労働に従事することになり、生活が安定しなくなる。

3.アパートの保証人がいない

 アパートも、養護施設を出るときに施設長が保証人となるが、転居すると、保証人となってくれる人がいなくなる。
   
4.住み込み就職や社員寮の場合、仕事と住居を同時に失う

 住み込み就職や会社の社員寮に入った場合、職を失うと同時に、住む場所も失ってしまう。職探しとアパート探しを同時に行うことになり、一気に転落してしまう。

5.気軽に相談できる人がいない、気軽に相談できる習慣がない

 児童養護施設では、少数の職員で子どもの監督をしているため、子どもが職員に気軽に相談できる状況にない。また、職員を独占する事への子ども同士の牽制もあり、相談することが習慣化していない。

 施設を出た後も、親戚やその他、気軽に相談できる人がいないため、困った事が起きても誰にも相談せず、事態を深刻化させる。

6.卒園した施設の子同士で足を引っ張り合い、結果としてつぶれる

 職・住まいを失った子が、別の施設の子のアパートなどに転がり込み、転がり込まれた子も一緒に遊び、仕事に行かなくなり、結局仕事を失う。このように互いに足を引っ張り合って、一緒に転落していく事例が少なくない。

7.最終的に風俗に入る

 職や住まいを失った女の子は、保証人もなく、正社員の仕事につく事ができない。そこで風俗に勤めている施設出身者に相談し、風俗の仕事に就く子が少なくかなずいる。風俗ネットワークと言うほど深い繋がりではなく、助け合う関係でもない。

8.育てていない親の扶養を迫られる

 親が生活保護などを受けている場合、自分自身の自立もままならないのに、さらに施設に入れっぱなしで、育てていない親の扶養を迫られる。福祉事務所のケースワーカーが、待ってましたとばかりに施設から出たばかり子ともに、親の扶養や援助を求める。親への複雑な気持ちと親を見捨てる事への社会的な非難などから、無理をして親を扶養した場合は、親子共倒れになる。

9.正式な結婚が困難な場合が少なくない。

 家制度がなくなったとはいえ、結婚はまだまだ家対家の結婚である。親族もなく、居ても一握りの親族では正式な結婚式を挙げるにも二の足を踏む。

10.金銭感覚の欠如による生活の困窮

 施設では月に一回のお小遣いを使い切る訓練程度であり、日用品は現物支給で買い物の経験がなく、金銭感覚が身に付いていない。部屋の明かりは安全のためつけっぱなしにするところがあったり、節約の観念が身に付かない、社会に出たあと、給料を計画に使う事が出来ず、あるだけのお金を使ってしまい、生活に困窮する。

11.食事に無駄が多いことによる節約や衛生管理ができない

 養護施設では、食中毒防止のため、食べきれなかった食事は捨てている。したがって、残った料理を次に食べることによる衛生管理や食中毒に注意する感覚も育たない。

12.ゴミの分別が出来ない

 施設では、ゴミを分別し、決められた収集日に出す生活がないため、ゴミを分別する感覚や収集日にあわせたゴミ出しが出来ない。ある施設では、可燃ゴミは焼却炉(ドラム缶もあった)で燃やしていたため、可燃ゴミや燃やすものと思い、アパートの庭で燃やしていた。

13.正常な羞恥心が育たない

 養護施設ではプライバシーがなく、廊下から丸見えの部屋で女子が着替えをしていたり、男子職員が女子の部屋に当然のように入る施設もあり、女性としての正常な羞恥心が育たない。

14.衛生感覚が身に付かない

 施設最低基準では、お風呂は週に2回となっている。家庭では、毎日お風呂に入るのが習慣化しているが、施設では、週に2、3回のところがまだまだある。従って、体を清潔にする習慣が身に付いていない。当然、子育てにおいても、子どもを毎日お風呂に入れる発想が出てこない。

15.日常の生活用品の使い方がわからない

 施設では、台所用品に触れる機会がないため、台所用品の使い方がわからない。ある女子は、生ゴミ用の三角コーナーを、そばの水切りざるとして使っていた。

16.食事を作る感覚が身に付いていない

 施設では、食事は時間になったら出てくるため、食事を作る感覚が身に付かない。さらに、食事のための買い物もしらない。ある女子(男子も)は、お米を研ぐときに洗剤またはクレンザーで米を洗いつづけ、友人が遊びに来るまで、水だけでいいことに気づかなかった。

17.温かい子育てのイメージが無いため、子どもを虐待したり、ネグレクトをしたりする。

 愛され、慈しまれ、抱きしめられて育った感覚が無いため、育てられたように子どもを育て、結果として、ネグレクトしてしまう。施設で子どもが自己主張をすると、力で支配されていたため、今度は虐待に転じてしまう。

 また、かわいがって育てる場合も、自分はこんなに可愛がられなかった、抱きしめられなかった、大切にされなかったという思いが高じて、子どもに嫉妬してしまう。この感覚が子どもの自立まで続く。

18.施設二世、三世を再生産する

 自分自身の過去を否定したくないため、自分の子どもを養護施設に入れる事への抵抗感が少ない。「自分も苦労した」「施設も悪いところではない」「自分も施設でうまくやってきた」などと、施設で育った自分を肯定するあまり、自分の子どもをはいつくばってでも、自分で育てようとする決意がない。

19.学校のPTA参加が困難。

 親のPTAに参加する姿を見ていないため、PTAとしての学校への関わり方がわからない。子どもとして守られていなかったため、子どもが学校で虐められたり、友達とトラブルを起こしても、子どもの守り方がわからない。

20.地域づきあいができない

 養護施設では地域での隣近所のつきあいがない。地域行事の参加も、せいぜい地域清掃や、お祭りなどの、イベント程度の参加である。そのため、冠婚葬祭、寄り合い、回覧板、などの地域の様々なつきあいの基礎知識もなく、そもそも近所づきあいの概念や大切さも理解していない。そのため、地域でさまざまなトラブルを起こす。

Ⅲ 里親家庭制度の問題点

1.里親への研修制度がない
2.里親ファミリーホームが制度化されていない
3.専門里親が活用されていない
(略)

Ⅳ 親が育てられない子どもの未来のために

1.社会的養護の基本理念を家庭的養育とすること

 日本政府が1994年(平成6年)に批准した「子どもの権利条約」第20条には、「家庭環境を奪われた児童又は児童自身の最善の利益にかんがみその家庭環境にとどまることが認められない児童は、国が与える特別の保護及び援助を受ける権利を有する」とあり、さらに、国の与える代替的監護として、「特に、里親委託、イスラム法のカファーラ、養子縁組」と、里親委託を先頭に持ってくるとともに、「特に」と強調しています。

 「又は必要な場合には児童の監護のための適当な施設への収容を含むことができる」と続き、施設収容を「必要な場合」のみに認めています。

 さらに、「解決策を検討するときには、子どもの養育に継続性が望まれる」と、パーマネンシーへの配慮を求めています。

 社会的養護の基本を家庭養護とし、施設養護は、養育相談・一時保護・レスパイトケア・治療など短期間の入所のみとして下さい。

2.施設養護から家庭養護への転換についての長期計画をたてること

 施設養護から家庭養護への転換は、短期間で出来るものではありません。里親制度を整備し、里親を拡充し、養護施設を里親・家庭支援センターなどに転換しながら、計画的に行う必要があります。

 漫然と方向性を提言するのではなく、10年後には、施設養護・家庭養護の構成比を5対5、20年後には1対9とするなど、施設養護から家庭養護への転換について、具体的数値目標を定めて下さい。

3.社会的追跡調査を実施すること

 イギリスでは、インケアにいた子どもの追跡調査をし、施設養育・里親養育された子どもたちが、社会でどのような生活をしているのか、追跡調査をしています。

 日本においても、税金を投入し、将来の納税者である子どもを育てるのですから、社会的追跡調査を行って下さい。

 日本では、非公式な調査ですが、新宿の野宿者(ホームレス)を調査した団体で、およそ三割の方が、養護施設を体験した方だという数字も聞きます。

 厚生労働省及び都道府県で実施する野宿者実態調査において、「過去における養護施設等の生活経験の有無」を調査項目に加え、施設経験者の措置解除後の実態を把握して下さい。

4.長期施設入所児童の親の親権の制限を行うこと

 里親委託が進まない理由のひとつに、親が施設入所には同意しても、「子どもを取られる」と里親委託には同意しないと言われています。結果として、子ども時代の大半を施設で過ごす子どもがいます。

 「子どもの家庭で育つ権利」は、親権と競合するものではありません。また、里親は、子どもが実親家庭に戻り、家族が再統合されることを望んでいます。したがって、乳児院・養護施設に入所してから一定の期間、家庭復帰ができなかった場合は、子どもの最善の利益にかんがみ、里親家庭に移り、そこから実親家庭への復帰を図るようにしてください。

5.乳児院・養護施設の入所期限を設定すること

 「ケアの連続性」の名の下に、乳児院の入所年限を就学前までとする「乳幼児ホーム」、児童養護施設に乳児院を併設する制度改正が行われましたが、子どもたちは、いったい何年間、施設で生活したら、家庭に行けるのでしょうか?

 現在は、入所期限の定めがないために、親の所在が不明であっても、結果として子ども時代の全てを乳児院・児童養護施設で過ごし、家庭生活を知らないままに社会に出て行く子どもが1割程度いるといわれています。乳児期から18歳まで、子ども時代のすべてを施設で生活するのは、重大な権利侵害であり、システム的ネグレクトといって過言ではありません。

 施設の入所期限を設定し、その入所期限が過ぎた子どもは、職権で里親家庭に委託する規定を定め、子ども時代のすべてを乳児院・児童養護施設などの施設で暮らす子どもが絶対に出ないようにして下さい。

①乳児院の在所期限は原則3ヶ月とし、3ヶ月を超える乳児は家庭養護へ

 全国乳児福祉協議会の調査では、3ヶ月以上乳児院にいる子どもが6割を占めています。そのうち1年以上2年未満の子どもが24%、2年以上いる子どもが14%、併せて40%もの子どもが、1年以上乳児院で生活しています。人間としての基本的信頼関係を築くべき、人生でもっとも大切で貴重な乳幼児期を、特定の大人との愛着関係を築くことなく、集団で育つことを余儀なくされています。

 乳幼児の発育には、特定の養育者との愛着形成が必要不可欠であり、養育者との無条件の信頼関係を作ることで、その信頼関係を発展させ、他者との関係を作り上げていくことが出来ます。その心の基盤を作るべき大切な乳幼児期に、集団の中で育てられ、無条件の信頼関係を持ち得ない子どもは、成長するに従い、さまざまな問題を起こしていきます。心から信頼する相手を持たない愛着形成の出来なかった子どもは、成長するにつれ、心にポッカリと穴があいたような空虚感を訴えます。それを里親や施設職員が埋めることは、容易なことではありません。愛着障害は、里親などの養育者だけではなく、当の子ども自身をも苦しめています。

 しかし現状は、2歳頃まで子どもを乳児院に措置し続け、児童養護施設に移る措置変更の時期に、ようやく養育里親を選択肢として検討するに過ぎません。このように、乳児院などの施設での長期養育で子どもの愛着形成を困難にし、委託された養育里親が苦労しているのが現状です。

 乳児院では、養育担当制を導入するところも出ていますが、現行の職員配置基準では、1人で複数担当し、担当以外の子どもの養育も行わざるを得ないため、担当児童にかける時間をとれないのが現状です。また、養育担当制は、職員の力関係にも影響を受け、乳幼児の差別的扱いの原因となることも指摘されています。

 欧米では、乳児院は存在せず、乳幼児は一時保護も含め、里親に委託していると聞きます。日本においても、「乳幼児は原則里親委託」とし、乳児院の入所期限は3ヶ月と期限を定めて下さい。そして、3ヶ月を超えて家庭復帰の見込みがたたない乳児については、里親委託として下さい。

②児童養護施設の入所期限を幼児は6ヶ月、学童は1年とし、それを超える児童は家庭養護へ

 厚生労働省の資料「養護施設入所児童等調査結果の要点」(平成15年2月1日)では、児童養護施設の入所児童の平均在所期間は、4.4年(前回4.8年)となっています。しかし、この平均在所年数は、中高生で入所した在所期間の短い子どもを含めた平均年数であり、幼児期・学童期に入所した児童は、この平均を大幅に超えています。どの年齢でも、一度施設に入所すると、家庭復帰できる子ども以外は、措置解除となる18歳頃まで施設に在所していることになります。

 また、乳児院・児童養護施設と継続する子どもの通算入所期間の調査結果はありません。全乳協の資料によると、乳児院を退所する幼児の2割は、児童養護施設への措置変更であり、この幼児は、家庭復帰の見込みもなく、子ども時代の全てを施設(乳児院。児童養護施設)で育つ可能性が大です。
児童養護施設の入所期限を幼児は6ヶ月、学童は1年と定めるなどして、それを超える児童は家庭養護に移り、家庭生活を営みながら、家庭復帰を目指すようにして下さい。

6.子どもたちの教育権の保障を

 全国の高校進学率は95%ですが、施設の子どもの高校進学率は6割程度、専門学校を入れても、7割程度です。大学進学にいたっては、一般の大学進学率が東京で8割あるのに対し、施設のそれは、数字として出てこないほど低いです。高校進学する児童の「特別」育成費を普通の育成費とし、全員が高校に進学できるようにしてください。また、大学についても、奨学金だけでは学費と生活費をまかなうことができないため、働きながら大学に通わざるをえません。生活の部分については、育成費を出して下さい。

 また、進学率の低さは、本人の学力が低いことも理由にされていますが、家庭崩壊のごたごたの中で、勉強している子どもがいるほうがおかしいです。職員やボランティアが勉強を見るのも限界があります。学力をつけ、教育権を保障するために、学習塾などに通う経費を負担してください。

7.居室スペースを家庭並みにし、中学以上には個室を与えること

 現在、養護施設の児童の居室面積は、一人当たり3.3 ㎡となっています。警察の留置場居室基準が一人当たり3.2 ㎡であるので、留置所並の居室基準です。また、居室人数も15人以下となってため、30 畳の大部屋に15人の児童が生活しても、違反となりません。

 また、居室にドアがなかったり、ドアがあっても、大きな透明のガラス窓があったり、鍵がかけられなかったりします。

 中学生以上は6畳以上の一人部屋、小学生も8畳以上の二人部屋とし、各居室に鍵をかけられるようにしてください。

8.大舎・中舎施設を解体し、小規模化の推進

①児童養護施設の基本はグループホームとする

 同一敷地内におけるグループホームは、形を変えた集団養護であり、地域に密着したグループホームの利点を損なうものです。また、大舎内におけるユニットケアは、年ごとの部屋替えや担当職員の変更などもあり、生活単位や人間関係が年ごとにめまぐるしく変わり、ケアの連続性からはほど遠いものとなっています。大舎・中舎の施設養護形態は廃止とし、地域に分散したグループホームを施設養護の基本として下さい。

また、職員の交替勤務制以外に、職員夫婦の住み込み型グループホームも導入して下さい。

②乳幼児は乳幼児専門里親及びグループホームを基本とすること
欧米では、乳児院を廃止し、一時保護も含め里親委託しているところがあると聞きます。日本では、定員が30名を超える大規模乳児院がまだまだあります。短期入所であっても、大集団での養育は不適切です。地域分散型のグループホームとして下さい。
また、保育士・看護師や乳児養育経験者などよる乳児専門里親を創設し、短期期間であっても、基本的に里親養育を中心として下さい。

9.施設職員の専門性の確保、働き続けられる環境の確保

 施設職員は、家庭で虐待をうけ、その納得しない子ども時代を取り戻すべく、施設職員になる方が少なからずいます。

 家庭で虐待を受けた職員が施設で家庭虐待を再現し、子どもが被害を受けるケースもあります。
欧米では、カウンセラーになる人は、自分を正しくカウンセリングし、トラウマや納得できない過去を整理すると聞いています。同じように、施設職員の資格取得に関して、過去の家庭生活の整理をさせ、職員の抱えるトラウマを施設で再現しない仕組みの検討をお願いします。

 また、養護施設職員の平均勤続年数は、3、4年です。「1年目は新人、2年目は中堅、3年目はベテラン、4年目は退職」と施設職員自ら言われているように、単純計算で、4年で全職員が入れ替わることになります。これでは、施設で一番古いのは子どもたちになってしまいます。結果として、若い職員が多くなり、保育士学校を出たばかりの20歳そこそこの保育士が、さして違わない17、8歳の子どものケアを行うことも珍しくありません。

 福祉労働者としての施設職員の処遇を改善し、結婚しても、子どもが生まれても、長く働き続けることができるようにして下さい。

 さらに、千葉県の児童養護施設「恩寵園」や茨城県の児童養護施設「筑波愛児園」など、虐待が発覚した施設では、職員が長い間研修に出してもらえず、最新の養育技術や理論を学習する機会がありませんでした。職員の養成や資質の向上を施設に任せっきりにするのではなく、定期的な研修への参加を義務づけて下さい。

10.養護施設内虐待の防止及び通報システムの整備

 千葉県の児童養護施設恩寵園では、実習生が大学に施設内の虐待を通報していたにもかかわらず、大学教員が握りつぶし、表面化しないままでした。「施設実習における倫理綱領」を大学・保育士学校などに設置させ、施設内虐待を発見した実習生は、大学への報告並びに児童相談所や警察などの関係機関への通報を義務づけて下さい。

 また、千葉県では、児童相談所や県児童家庭課が虐待を把握していたにもかかわらず、具体的な対応を取らなかったため、虐待が表面化しても、改善に長い時間がかかりました。施設内虐待の通報を受けた関係機関は、虐待調査を行い、虐待の実態にそった改善勧告を1ヶ月以内に行うなど、期限を設定した虐待対応を義務づけて下さい。

11.養護施設における性虐待の防止システムの整備

 児童福祉施設での性虐待を防止し、子どもたちの被害を拡大しないために、児童福祉施設及び都道府県社会福祉協議会を始め、関係機関は以下の方策を検討して欲しい。
①施設職員に対する誓約書の提出の義務づけ

  施設に勤務する際に、ペドフィルではないことの誓約書を義務づける。本人に、子どもに手を出してはいけないことを採用時に自覚させる。
②被害発生時の警察への告発

 万が一、職員や施設長が子どもに性被害を与えた場合は、刑法の強制わいせつ罪・強姦罪容疑と
して、原則として警察に告発することをルール化する。
③監督官庁への報告の義務づけ

  児童福祉法による児童虐待として、児童相談所及び監督官庁に届け出る。本来義務づけられているはずであるが、発覚しない限り、うやむやにして自主退職扱いにしている施設がほとんどである。違反の場合は、理事長・施設長の解任を含む罰則規定を設け、確実に報告させる。
④ペドフィル(小児性欲者)データペースの整備

  ペドフィルは、子どもを性の対象とする性的指向があるため、繰り返し犯罪を犯す危険性がある。都道府県社協で、ペドフィルデータベースを整備し、全国ネットワークとする。性虐待が理由で退職した職員を各児童福祉施設の届け出により登録する。児童福祉施設への就職条件に、ペドフィルデータベースへ登録されていないこととする。

12.子どもの権利擁護の制度化

①子どもの「意見表明権」を制度として定める

 「子どもの権利条約」第12 条には、「児童は、特に自己に影響を及ぼすあらゆる司法上及び行政上の手続において、国内法の手続原則に合致する方法により直接に又は代理人若しくは適当な団体を通じて聴取される機会を与えられる」とあります。

 しかし現状では、親が育てられない子どもの大半が、本人の意志とは無関係に児童養護施設などの施設に行かざるをえません。家庭を失うだけでなく、転校により学校の友達を失い、住み慣れた地域や地域の友達を失い、見知らぬ土地の養護施設に入り、新しい学校に通うことになります。失うものがあまりに多すぎます。

 子どもが意見を表明できる手続が定められていないこともあり、児童養護施設に行くのか、里親家庭に行くのか、子ども自身が選択できず、結果として児童養護施設などの施設に入所させられています。

 児童養護施設に行くのか、地域の里親家庭に行くのか、子ども自身が複数の施設、里親から選択できるように、意見を表明する仕組みを構築してください。

②要保護児童の後見人の選定

 未成年者に親権者がいないとき、または、親権者が管理権を有しないときは、児童相談所長が家庭裁判所に対して未成年後見人の選任を請求しなければならないことになっています。(児童福祉法第33条の七) その未成年後見人が、未成年者の法定代理人となりますが、親が行方不明であるにもかかわらず、選任されない子どもが少なからずいます。親権を行うものがいないため、里親委託の承認がとれないとして、乳児院・養護施設で生活し続けています。

 「子どもの権利条約」第12 条では、「国内法の手続原則に合致する方法により直接に又は代理人若しくは適当な団体を通じて聴取される機会を与えられる」とあるように、子どもの意見を代弁できる代理人を必ず選定する制度として下さい。

③CAPプログラムの導入の義務化

 社会的養護の対象の子どもたちは、自らの権利に対する意識が養成されていません。虐待を受けた子どもは、自分がされたことが権利侵害であることを認識しなければ、他の子どもに同じことをしたり、成長して親となった時に、無自覚にされたことを子どもにします。また、虐待からの回復、尊厳の回復は、自分の受けた虐待や権利侵害への正しい認識が必要不可欠です。

 児童養護施設・里親家庭に対して、CAPプログラムの導入を義務づけ、児童の定期的なCAPプログラムの参加を促し、権利意識を養成して下さい。

④子どもの権利手帳の義務化

 児童養護施設の子どもたちに権利手帳を持たせる都道府県が増えてきましたが、義務化されていないこともあり、一部にとどまっています。権利手帳を配布する際には、「権利を主張するのもいいが、義務もあることを忘れるな」と、あたかも義務を果たさなければ、権利がないかのような物言いをする職員もいると聞きます。また、権利手帳を配布したアリバイづくりはしても、定期的な権利教育を行わないため、権利手帳が形骸化している施設もあります。前述のCAPと併せて、権利教育を行うことを義務づけて下さい。

 また、里親家庭の子どもに権利手帳を配布している都道府県は聞いたことがありません。同じ社会的養護の子どもたちであるので、養護施設と同じように、里親家庭の子どもにも権利手帳の配布を義務づけて下さい。

13.施設内で起きた暴力・性暴力のトラウマ治療について

 2007年1月25日、民間児童養護施設暁学園における児童間暴力による被害児童の脳への後遺症について、措置権者である愛知県のみに損害賠償責任を認めました。施設内で起きた職員による暴力・性暴力、児童間暴力・性暴力によるトラウマ治療は、措置した都道府県が行う責任があります。

 施設内虐待、施設内児童間暴力・性暴力等でトラウマを受けた児童については、養護施設を出た後も、トラウマ治療を継続して下さい。

14.施設入所児童の交流の実施

 イギリスでは、施設、里親家庭でケアを受けている子どもと経験者(12~25 歳)の団体である全国養護児童福祉協会(略称ネイピック)が、季刊誌「養護児童の声」を発行しています。また、「養護児童権利憲章百ヶ条」を発表したり、ケア経験者や当事者にアンケートを実施し、報告書を公表しています。協会の運営資金は、ほとんど国(保健省)が補助し、消費者活動の一環として位置付けられています。福祉関係者を含めた社会全体が、福祉の対象の子どもたちの声に真摯に耳を傾けようとして
いることがよくわかります。

 また、カナダでは、里親家庭や施設で暮らす14 歳から24 歳までの青少年自身がユース・インケア・ネットワーク(National Youth In Care Network)というNPOを運営しています。ケアを受けている青少年どうしでネットワークを作り、交流を図るだけでなく、当事者自身の声を政策に反映させたり、奨学金を貸し出したり、自立に向けての取り組みを行うなどの活動をしています。

 日本でも、昭和63 年(1988 年)、鳥取にて、第一回全国児童養護施設高校生交流会(以下「高校生交流会」)が開催され、全国の養護施設で暮らす高校生が意見交換をしました。利用者である高校生たちの交流は、施設間の処遇の不均衡や施設環境の大きな違いを浮き彫りにしました。平成7年(1995年) の第7回福岡大会は、全国養護施設協議会が主催し、厚生省が後援し、30 都道府県78 施設、157名の高校生と69 名のアシスタントが参加する大きな大会となりました。福岡県の高校生が施設の劣悪な処遇を訴え改善につながるなど、当事者である子どもたちの権利意識は高まりました。しかし、全国児童養護施設長会議で、「高校生交流会は役割を終えた」とされ、第9回愛知大会を最後に幕を閉じました。日本版ユース・インケアネット・ワークの母胎になる可能性をもっていただけに、施設長会の中止の決定は非常に残念です。

 現在は、関東近県の児童養護施設で生活する高校生の交流を図る東京地区高校生交流会が、細々と続けられています。

 施設生活経験者や現在施設で生活する子ども、里親家庭で暮らす子どもたちなど、当事者同士の自助活動と、当事者の意見を施策に反映させるためにも、日本版インケア・ユース・ネットワークを設置して下さい。

15.社会防衛としての社会的養護の位置づけ

 乳児院では、乳幼児一人に年額720万円、養護施設では、児童一人に年額500万円かかると言われています。0歳から18歳まで乳児院・養護施設で育つと、単純計算で9,600万円(約1億円)の経費がかかります。

 片や、里親家庭で育つ児童は、0歳から18歳まで、約2000万円の経費がかかると言われている。同じ要養護児童でありながら、施設に入った子には経費が手厚く、里親委託児童は五分の一の経費しかかけていない。ところが、社会的自立ができるのは、里親家庭で育つ児童が圧倒的に多いと言われています。

 要養護児童への経費の不均衡のみならず、自立の費用対効果についても、里親養育に及びません。
社会的養護の目的は、児童福祉的には児童の自立と幸せを目的としますが、社会投資という観点からは、健全育成による将来の納税者を育成することです。子どもの最善の利益が、そのまま、納税等による社会利益、または、反社会的行動をしないことによる社会治安の維持、経済的自立をすることによる社会保障費の削減につながります。

その観点において、最小の経費で最大の効果をあげる里親制度を、より推進してください。

16.地域社会・日本国への帰属意識の養成

 人は、家庭への帰属意識を通して、地域社会への帰属意識を持ちます。地域社会への帰属意識は、日本国民として、この日本を愛する事につながっています。
子どもが乳児院・児童養護施設で育ち続けるということは、社会から捨てらているというメッセージを受け続けることです。

 児童養護施設で育つ子どもは、家庭のみならず、地域社会へ帰属意識を持つことが出来ないまま、この社会に浮遊し続けています。国の基本構成単位である家庭で育ち、家庭の一員であることが、地域の一員であり、日本国民の一員であるという帰属意識の養成が必要です。

17.社会的養護に支援費制度を導入する

 介護保険制度、障害者自立支援制度が導入され、老人福祉や障害者福祉では、福祉サービスを利用者が選択できるようになりました。児童福祉の中心であった保育所でも、措置から契約へと変更になり、さらに、認定子ども園など幼保一元化が進んできました。
ところが、児童養護の世界だけは措置制度が残され、福祉サービスの受給者である子どもたちが、施設サービス・里親サービスの選択すら出来ません。措置制度を支援費制度に切り替え、福祉サービスの利用者である子どもたちが、里親や施設のサービスの選択を行えるようにして下さい。

18.子どもの権利を実現するサービス評価専門機関の設置

 栃木県宇都宮市の児童養護施設「普恵園」では、職員の児童への暴行を、第三者委員会や県運営適正化委員会へ申し立てましたが、児童への事情聴取は行われず、申し立ては認められませんでした。
また、千葉県船橋市の児童養護施設「恩寵園」でも、児童が集団脱走して訴えたにも関わらず、児童への虐待を県は認めませんでした。

このような施設内における人権侵害やサービス低下に対する評価について、強制力を持っている機関がありません。施設養護・家庭養護を専門的かつ客観的に評価し、勧告・是正を行うサービス評価専門機関を設置して下さい。

19.児童相談所の市場化テストの導入

 昨年(2006年)、韓国で開催されたアジア里親大会では、10年間で、施設養護と里親養護が半分ずつになった韓国の事例が報告されました。その大きな理由のひとつに、里親委託事業を公的機関だけでなく、民間機関にも行わせ、官民で競わせているとのことです。
アメリカにおいても、里親委託や委託後のケアについて、民間社会福祉事務所に行わせている州もあります。
日本においても、児童相談所の里親委託業務を市場化テストの対象にし、官民に競わせて、里親委託率を上げて下さい。

コメント一覧

by Maria

(^^)//""""""パチパチ

もう、何も言うことはないわ。

ただ一つだけ。
高校入学率だけでなく、高校卒業率も把握するように提言して欲しいわ。

2007年04月01日(日)17時29分 編集・削除

by レイ

 施設の問題 退所後の問題

 ・宗教観の違いにより、地域との交流ができない。


 私事ですが、施設の理事長も園長も牧師で、職員はキリスト教系の大学を卒業して施設へ入ってくる人ばかりでした。見た目はごく普通の大舎制なのですが、精神的なものはキリスト教でした。

 その影響を持ったまま、結婚した為、近所・親戚などの葬式などでは1人だけキリスト教の献花を続け、周囲とは相容れないものがありました。それでもキリスト教の規律におびえる部分があり、とうとう5年以上、そのまま過ごしました。夫に説得され、今は仏教の習わしに沿う事ができました。

 カソリックの施設などもっと大変であろう事は想像に難くありません。宗教的な問題も追加お願いします。

2007年04月01日(日)17時38分 編集・削除

by Edward

養子法の制定、国際養子縁組の手順について定めたハーグ条約の批准

2007年04月02日(月)05時08分 編集・削除